研究:1990~1999年

高齢者ケア構築に向けての調査研究-日本とオーストラリアの比較から-

研究名 高齢者ケア構築に向けての調査研究
-日本とオーストラリアの比較から-
事業年度 平成10年
本研究の目的

人口構造や疾病構造が急速に変化する中で、望ましい高齢者ケアシステムの確立は日本をはじめ先進諸国において共通の課題となり、他国の経験に学ぶところも多くあります。
1998年1月に小泉元厚生大臣が訪豪した際、両国政府間で「日豪保健福祉協力」が発表され、その中にコミュニティケアに関する日豪協同研究活動の実施が盛り込まれました。オーストラリアでは1980年代半ばより、連邦政府による「在宅及び地域ケアプログラム」のもとに、高齢者が可能な限り自立した生活を続けられるようなコミュニティケアシステムに向けて多彩なプログラムが積極的に展開され、日本における今後の政策展開を考える上で、有益な参考例となります。また、オーストラリアでもわが国で2000年から施行される公的介護保険への関心が高くなっています。
本研究はこのような経緯の下に厚生省の依頼を受け、社会福祉・医療事業団の助成により、日豪の比較を通して望ましい高齢者ケアシステムの構築を考えることを目的として始められました。研究期間は1998年度から2年間を予定し、小林良二東京都立大学教授を主査とする日本側チームと、ジョン・マッカラム西シドニー大学教授を代表とする豪側チームとの共同研究体制の下で進められました。 日本側では初年度の1998年には、専門家からのヒアリング、文献サーベイ、情報収集によりオーストラリアの高齢者ケアシステムについて基礎的学習を重ねてきました。1999年3月にはオーストラリアにて研究者・専門家による日豪合同会議が開催され、それぞれ自国の高齢者ケアの現状について報告と討議がなされ、相互理解を深めることができました。また、訪豪の際にはオーストラリアの高齢者ケア施設も視察し、ケアの事例についても調査しました。本報告書は以上の初年度の研究成果をまとめたものです。

<研究会メンバー>

主査:小林良二 東京都立大学人文学部教授

荒井由美子 国立長寿医療研究センター看護介護心理研究室長 医師
工藤由貴子 国際長寿センター主任研究員
鈩 浩和 在宅医療支援ネットワークつくしんぼ代表 医師
田村静子 (株)ライフエイドネクサスデザイン代表取締役
西村 淳 内閣官房中央省庁等改革推進本部参事官補佐
福田 敬 東京大学大学院医学系研究科保険経済学分野助手
和気純子 東京都立大学人文学部社会福祉学科講師
緒方泰子 東京大学大学院医学系研究科保険経済学分野
篠原乙記 お茶の水女子大学大学院人間文化研究科
報告書名 「高齢者ケアシステム構築に向けての調査研究(1)
-日本・オーストラリアの現状と課題の比較から-」
(A4版 224ページ)
報告書
刊行時期
平成11年3月
本報告書の内容

第1部 「日豪保健福祉プログラム」日豪合同会議報告

  1. 合同会議の概要
  2. 合同会議での主な討議比較
    (1)日豪高齢者ケアの比較
    (2)オーストラリアにおける家族介護と家族支援
  3. 施設視察報告
  4. 合同会議提出論文
    Institutional and Community Care in Japan
    Health Care Utilization and Expenditure for the Elderly in Japan
    Family Care for the Elderly in Japan

第2部 オーストラリア高齢者ケアシステムに関する予備的研究

  1. オーストラリアにおける高齢者の生活とコミュニティ・ケアの展開
  2. オーストラリアにおける高齢者ケアの継続性への取組み
  3. オーストラリアにおける施設ケアのクオリティアシュアランス
  4. オーストラリアの在宅地域ケアにおける介護者
    -「介護者サポート」概念の考察に向けての予備的研究-
  5. オーストラリアにおける高齢者の住居をめぐる状況
    -ブリスベン・シドニー調査報告-

第3部 附属資料(翻訳資料)

  1. オーストラリアにおける高齢者:政策の展開
  2. オーストラリアにおける高齢者ケア
 
研究名 高齢者ケア構築に向けての調査研究
-日本とオーストラリアの比較から-
事業年度 平成11年
本研究の目的

近年の急速な人口構造の変化によって、それに対応する高齢者ケアシステムの構築は、日本をはじめ先進諸国に共通の重要な政策課題となっています。そうした状況の中、1998年1月の小泉厚生大臣の訪豪を機に、両国政府間で「日豪保健福祉協力」が発表され、その一部として高齢者コミュニティケアに関する両国の共同研究活動を行うことが取り決められました。その後、厚生省の依頼を受け社会福祉・医療事業団の助成によって1998年度から2年間を研究機関として「高齢者ケアシステム構築に向けての調査研究」がスタートしました。
本報告書は、以上の経緯の下に行われた研究事業の第2年目の成果です。日本と豪州はともに80年代の後半以降高齢者のコミュニティケアを積極的に推進している点、いわゆる「中福祉・中負担」という政府の福祉に対する方針などの点で共通しており、互いの経験に学びあうところが多くあります。研究の過程では、両国のケアの現場を視察し、両国の専門家や研究者が一堂に会する会議や討議も盛んに行われ、研究者とケアの専門家を交えて課題の検討を重ねてきました。そうした多様な活動を通じて相互理解を深め、多くの研究成果を得ることができました。
報告書は3部からなります。第1部は、両国の研究チームの直接的な相互理解に基づいてまとめられ、両国の厚生大臣によって署名される日豪高齢者ケアシステムに関する「Short Report」です。高齢者ケアに関する重要な課題について、両国の現状をふまえながら考察しています。両国研究者の協同の下に集約された高齢者ケアに関する最新のレポートであり、非常に意義深いものであると自負しています。第2部には、研究委員のテーマにそってまとめられた論文を収録しました。第3部はオーストラリアの視察報告です。いずれも、第1年度の研究成果をふまえ専門的なテーマについての考察となっています。

<研究会メンバー>

主査:小林良二 東京都立大学人文学部教授

荒井由美子 国立長寿医療研究センター看護介護心理研究室長 医師
工藤由貴子 国際長寿センター主任研究員
鈩 浩和 在宅医療支援ネットワークつくしんぼ代表 医師
田村静子 (株)ライフエイドネクサスデザイン代表取締役
西村 淳 厚生省年金局年金課課長補佐
福田 敬 東京大学大学院医学系研究科保険経済学分野助手
和気純子 東京都立大学人文学部社会福祉学科講師
緒方泰子 東京大学大学院医学系研究科保険経済学分野
篠原乙記 お茶の水女子大学大学院人間文化研究科
報告書名 高齢者ケアシステム構築に向けての調査研究(2)
-日豪における高齢者ケアの比較研究-」
(A4版 160ページ)
報告書
刊行時期
平成12年3月
本報告書の内容

第1部 ショート・レポート -A comparison of aged care in Australia and Japan

第2部 報告書

  • 第1章 Community Care in Japan
  • 第2章 社会保障、雇用動向、高齢者ケアの相互関係
  • 第3章 高齢者ケアの利用と費用
  • 第4章 日本およびオーストラリアにおける高齢者ケア継続性への取組み
  • 第5章 日豪における家族介護者へのサポート -現金給付を中心に
  • 第6章 オーストラリアにおける高齢者虐待に対する取組み ~ニュー・サウス・ウェールズ州の事例から

第3部 視察報告

  1. Royal District Nursing Service
  2. Monash Medical Center

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