国際長寿センターの「介護支え合い相談・研究事業」は、介護保険制度が施行された2000年の10月に始まりました。この3月で6年半が経過しました。
この事業は、一定の研修を受けた相談員が、フリーダイヤルの電話とファックスで、全国の高齢者を介護している家族からの相談を受け、介護に関する情報を提供し、問題の整理と解決の方策を一緒に考えることを目的としています。併せて、相談を通じて見えてくる介護の現状や諸課題を分析・研究し、その成果を国内外に発信・情報提供しています。
本年度は介護保険制度と医療制度が同時に改正され、それらに関する情報を正しく伝える役割を担いました。新設された地域包括支援センターの紹介も積極的に行いました。また、初めて介護に直面した人たちに対しては、介護保険制度の主旨や申請の方法、サービスの利用法など基本的な情報提供の役割を再確認しています。
また、国際長寿センターは「認知症になっても安心して暮らせる町づくり100人会議」の事務局として、「認知症を知り地域をつくるキャンペーン」の推進の一翼を担ってきました。当相談室に寄せられる相談の7割が認知症に関するものであることから、相談対応に備えて、相談員研修や外部研修を通じて認知症ケアの新しい動きを学んでまいりました。認知症への関心が高まりつつある中で、マスコミで当相談室が紹介される機会を得て、新たな相談者層からの相談も増えました。
本報告書においては、この6年半に渡る相談の推移を分析・研究することにより、高齢者介護が抱える問題点の把握とこれからの課題の提出を試みました。また、相談件数が一番多く、悩みも多岐にわたっていた認知症に関する相談事例を取り上げ、相談対応を含めた解説を掲載いたしました。
少子高齢社会・超高齢化といわれる現在において、高齢者介護の問題はますます複雑化しているように感じます。本報告書が、介護者が抱える問題の一端をお示しし、問題解決に向けての一助になることができれば幸いです。
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